ダイビングQ&A

ビーチエントリー&エグジット時の注意点

Q. 「おちびな私は、ビーチエントリー&エグジットが苦手。先日、エグジットする段階になって波が出てきて、すごくコワイ思いをしました。砂利石の浜で立ち上がろうとして波に引き戻され、転んで波打ち際をゴロゴロ。マスクがずれて水が入ってきて死ぬかと思いました。先にエグジットしていたバディに救けられ、這って上がりました」
S・Sさん(23歳 D暦1年)

A. S・Sさんはエグジット時に波で転んでしまったのですね。エグジットしにくい砂利浜の海岸などでよく見かける光景です。小柄な女性は特にビーチエグジットには苦労しているようですね。確か「水深が腰くらいの所まで来たらフィンを外してエグジットしましょう」と習った覚えがあるのですが、転ばないコツは…

無理に立ち上がらず這って上がる
 通常はフィンを外して上がりますが、波がある場合には、フィンを脱ぐのにもたついてる間に波で倒されてしまいます。こんなときには、無理に立とうとしないで、フィンをはいたまま四つん這いで上がってしまいましょう。
───でも、這って上がるのはカッコ悪い気がします。
 そんなことはありません。インストラクターの僕でさえも、状況によっては這って上がりますよ。見栄を張っても仕方ありませんから、這ったほうが楽だなと判断したら、そうしますね。
───では、上手な「ハイハイ・エグジット」のやり方を教えていただけますか?
 まず、いきなりエグジットするのではなく、沖から岸をよく見て、大きな波に来る周期と、波が激しく砕けている場所をチェックします。そして、寄せる波が弱そうな所を目指し、寄せる波に乗って一気に岸に乗り上げます。できるだけ上のほうまで上がって、次の波が来る前に素早く這ってできるだけ波打ち際から離れます。
───素早く這い上がるのがポイントですね。

マスクとレギは絶対に外さない
 乗ってきた波が引くときにいっしょに引き戻されてしまうと、渚を波にもまれながら行ったり来たりするハメになります。これは最悪。引き波に戻される前に素早く両手と両膝をついて這い上がります。
 這うときは、波に対して直角に真っ直ぐ上がること。そして、完全に波から出るまでマスクとレギュレーターは外さないこと。決して身体を横向きにはしないこと。
 なぜか、水深が肘くらいになると、横向きになる人が多いんですよ。横向きだと、安定が悪いから倒されやすいんです。それと、身体を横向きにすると、マスクやレギュレーターを波で飛ばされる可能性が高くなります。
───S・Sさんのように、立って上がるつもりだったのに波で転んでしまった場合にはどうしましょうか?
 いったん転んでしまってから、立ち上がるのは非常に大変です。そのまま四つん這いになれるなら、這って上がってしまいましょう。
───這うとマスクやレギを手で押えることはできませんが。
 波に対して直角に這っているぶんには、波は後ろから来ていますから、手で押えていなくても波で飛ばされることはまずありません。
 ところが、波打際までくるとマスクとレギを外してしまう人がけっこう多いんですね。これはいけません。波が引いたときにエグジットできたような気になってマスクとレギを外してしまって、次の波で転がされて、水深30cmくらいの所で溺れるというケースもあるんですよ。
───水深30cmで溺れるんですか!
 タンクは重たいですから、波に転がされると仰向けのカメのような状態になっちゃうんですよ。マスクとレギがなければ、ガバガバ水を飲みますね。

ひっくり返ったら沖へ戻ろう
───では、"カメ"になってしまったら、どうしましょう?
 いったん沖に出るべきでしょう。ある程度水深がある深さまで戻ればタンクが海底から離れるので体勢を建て直すことができます。ゴロゴロ転がされてしまったら、マスクとレギュレーターが飛ばされないようにしっかり押え、引き波のときに足で海底を蹴って沖に戻りましょう。
───波のある海岸からエグジットする場合、BCにエアを入れたほうがいいのですか?
 エアがパンパンに入っていると波の影響を受けやすいですから、抜いたほうがいいですね。
───チームで潜っていた場合のエグジットの手順は?
 自分(インストラクター)とアシスタント、それに講習生3バディのチームでしたら、まず自分が上がって、器材を下ろしてサポートに回り、バディ単位でエグジットしてもらいます。アシスタントは海面に残り、待機しているメンバーをケア、最後に上がります。
───サポートはどうやるのですか?
 タンクのバルブの部分を持って、引き波に戻されないよう押えてあげるとずいぶん楽になります。
───バディで助けあえることはありますか?
 初心者同士だと難しいでしょうね。たぶん自分ので精一杯だと思います。そういうときは、なんでもかんでも自分たちでやろうとせずに、先に上がった人や周りのダイバーに手助けしてもらいましょう。
───以前に、沖でタンクを外して上がっているチームを見たことがあるのですが
 メンバーが初心者で、かなり状況が悪い時には、そういう選択肢もあります。
───ナビゲーションのミスや何らかのトラブルで、予定したエグジットポイントまで戻れない─、たとえば非常に足場の悪い岩場から上がらざるをえないというような場合には?
 タンクとウェイトを捨てて身軽になってエグジットする方法が考えられますね。それから、無理をせずに助けを求める。場合によっては、船を出してもらうこともできるはずです。
───エントリー時は問題なかったのに、エグジットしようと思ったら荒れていた、というのはよくありますね。
 同じ程度の波でも、行くときはなんとかなります。しかし、エントリー時に比べてエグジット時のほうが疲れているぶん危ないのです。
 波があるときのエグジットでは、
★ 沖から岸を見て、大波の来る周期や波が激しく砕けている場所を見極める。
★ 完全に水から上がるまでマスクとレギュレーターは外さない。
★ 無理に立とうとしない。
★ 這って上がるときには、波と直角の姿勢を保つ。
★ もし、転んでしまったら、いったん沖へ出て呼吸と体勢を整える。

の5つがポイントと言えるでしょう。

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