ダイビングQ&A

潜水後の高所への移動について

 潜水後に高所に登る場合、減圧症が発症する危険が高くなり、実際にそうした事例が出ています。「日本高気圧環境医学会」で高所移動による減圧症についての論文発表がありました。(DAN JAPANへの相談中、減圧症102例で山岳地帯への移動によるものが8例あるそうです)。それだけ問題が出ていることのなるのでしょう。とくに車で高所に移動するというなら、登る前に十分な休息をとって、体内の窒素を排出しておく必要があります。前述の高気圧環境医学会の発表では、「箱根越え」のみならず、伊豆スカイライン、東名高速道路でも減圧症が起こっているという指摘がなされています。

 それでは、どのくらいの標高の場所に移動するのが「高所移動」なのでしょうか。一般的にいって、標高300m以上のへの移動は高所への移動と考えてよいでしょう。これはこの標高より高い場所での潜水を「高所潜水」としていることからもわかります。この標高での気圧は、海水面で1013ヘクトパスカルの時に約980ヘクトパスカルになります。980ヘクトパスカルという気圧は、日常でも経験する低気圧ですから、高所への移動はそれだけ微妙なものということができそうです。
 もちろん潜水後に高所へ移動することは、移動までの時間があり、その間に体内の窒素は排出されているわけですから、前回に述べたような「水面から直ちに高所に登る」といった仮定自体はほとんど有り得ないことです。しかし、高所への移動前に食事をとるなどしてなるべく長く休息するとか、地図を調べて標高の低いところを選ぶなどの注意が必要なことは明らかです。

 ダイブコンピューターを使っている場合は、飛行機搭乗可能な時間が表示されるまで待つ必要があります。コンピューターによっては、そうしたら自宅に帰れないものも出てきそうです。私の友人には、コンピューターと減圧表を併用して、一定の文字グループになるまで高所移動を控える人もいます(実際には、コンピューターでのダイビングを減圧表に当てはめるのに苦労していますが……)。筆者はアメリカの雑誌に載った高所移動時の急速時間の試算表を使っています。これはUS NAVYの減圧表を使うもので、公式のものではありません(もちろん、ちゃんとした学者が計算したものですが)。
 減圧表を使った潜水の後で高所に移動する方法については、自分のダイブテーブルの使い方をもう一度確認する必要があるでしょう。また、コンピューターを使う場合も、高所移動についてもマニュアルで確認しておくべきです。コンピューターを使っての方法には、始めから移動する標高を考えた「高所モード」にしておくという「奥の手」も考えられます。海水面を高所だと仮定して潜れば、そこで浮上してから該当する高所に移動しても安全だろう、という理屈です。しかしこうした方法は、いわば「裏技」ですから、もしそれを使って減圧症に罹患しても筆者は責任をとれません。

 結局、ダイビングは「自分で危険を引き受ける」遊びで、安全のためにはそれだけ知識を要求されるものであるようです。 
 ハッピーDIVINGを!

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